ノーベル経済学賞 ダニエル・カールマン「行動経済学」
市場が悲観的な空気に支配されているときは、何をしても悪いほうに進む
「人の行く裏に道あり」
--朝日新聞---
エコノフィジックス最前線
数理科学10月号 2002年
マートンによれば、オプションのすばらしいところは、普通の投資家が株を売ったり買ったりする煩わしさから
開放されることであった。相応のコスト(プレミアム)さえ払っておけば、指数が下落した場合のリスクなしで
上昇時の利益のみをとることができる。
将来はこのような巧妙な金融仕組み商品で満ち溢れ、携帯電話の便利さであふれることになる。
(LTCM伝説)
統計学者なら、μとσを推定すればいいと考えるだろう。しかし、無裁定のたちばから、
μは安全資産の利子率で置き換えられた。つまり市場で与えられるものを使えばよい。
するとあとはボラティティだが、これも統計学者なら分散の推定などという理論を持ち出してくるだろう。
ところが、ここで市場の適正なオプション価格を求めるはずのブラックショールズ式を逆に使う、
市場のオプション価格をたくさん集めてきて、逆関数としてσをけいさんしてやるのだ。
これはインプライドボラティティと呼ばれ、ウオール街ではすでに常識的に使われているものらしい。
カリフォルニア工科大学で学ぶステファン・ロスはすばらしい偉業をあげたファインマンの講義に強く影響をうけ
ゆくゆくは物理学者になりたいと思っていた。・・・・
ロスは、検証を進めていくうちに、ファインマンの理論をロスなりに実証して、この理論を株式市場に当てはめていた。
ロスは、株価が変動可能なパターンすべてをツリーダイアグラムに書き換えてみたのだ。
基本的には、量子力学を金融市場に取り入れたといえる。(LTCM伝説p.120,125)
V
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S(t)
S(t)を株価、株価の値によって権利を行使したいしなかったりするをオプションの価格をVとする。
Vをどうやって評価するか。つまり、Vに対してどれぐらい支払えるか?
これはブラックショールズの公式で求められる。
S(t)は2項分布のプロセスを極限操作で導かれる正規分布で表現され、つまり
dS(t)=µSdt + σS(t)dw(t)
という確率微分方程式で表現される。w(t)はブラウン運動である。
ここで無裁定の仮定をする。道端にお金は落ちていないという仮定。
(香港でドルが190円で売られており東京でドルが210円で売られていれば、
単純に考えて香港でドルを買い東京でドルを売ると差し引き20円得などのような
さやあてともいうもの。これらは情報の伝播でみんながそのような行動をとったりして
結果的にはそのようなおいしい話は消えてしまうという仮定。)
しかし、実際これからやることは、表面的な無裁定があっても、法律や国家間の規制や
税金の仕組みもろもろから裁定を探すことによって利益を探し出すことになるのだが。
この場合債権を用いる。つまり上の式でµと書いたものを債権などの安全運用利率rで置き換える
ポートフォリオを組むといってもよい。
(Δヘッジという。数式ではそれによりdw(t)の項が消えてしまうことになる。)
得られた式はσとrと正規分布の式だけになる。この正規分布の式はVが満たす熱伝導方程式
の解として出てくるものでw(t)とは別である。
結局、σ(ボラティティ)とrだけからオプションの価格が計算される。
刈屋 武昭著
金融工学とは何か
「リスクから考える」
岩波新書
伝統的な業態的金融論と21世紀には中心となる機能的金融論の比較をしよう。
(これは ソニー銀行やコンビニで株を発売したり銀行だけが金融を扱うわけでなく
保険やローンやいままで業態ごとに別々に考えていたものを垣根を払い総合的に
考えてしまおうというコロンブスの卵の話である)
第一に、2つの金融論のもっとも基本的な相違は、そのよりどころとなる分析的枠組みである。
・・・略・・・業態的金融論では業態の変化を扱う分析的枠組みを持ち得ない静的なものであるのに対し
機能的金融論では業態の変化を扱う・・・金融工学が活かされる。
第2に会計的見地から業態的金融論では価値配分
業態的金融論では1時点で評価される価値を考えるのに対して、
機能的金融論ではリスクを計測することに焦点・・・・略・・・・・・・金融工学の必要性
第3に業態的金融論では規制の問題。業態維持の発想、商品規制、価格規制・・・・・
機能的金融論では効率的になる。・略・・・金融工学の役割大
金融工学は新たな製造業であるとも言っている。物を生産するのでなく
情報?金融商品を生産するのである。
説明が難しいので困るが、言っていることはまともで、いやものすごく重要なことを言っているのである。
金融工学は社会の変革を前提に考察しなければその本質がわからない。
主客転倒かもしれないが金融工学がうまれ経済の仕組みまで変わる。
じゃ、なにがうれしいか?
1日でこの本を流し読みして1週間ほど自分の頭で考えてみよう。
ぼくはなにかあるような気がします。
Moneyのグローバル化のもたらすもの
ここで1997年タイでおきた経済事件を記録しておく
1993年IMFが推進した金融の自由化に対応してタイは外国からの資金の導入を認めた。
当時1バーツ=25ドル(アメリカドル)に固定していた。(固定相場制)
日本を含む海外の投資家にとって非常においしい状況ができた。つまり、
タイの金利=12% アメリカの金利=5%
言い直せばアメリカからお金を借りてタイのバーツに替えると差し引き7%の得
つまりノーリスク、ノー資金で10年で(1+0.07)**10=2倍
となる。国家の年間予算の10数倍もの資金が世界各国から集まりタイ国民は空前の金持ち国となった。
しかし、1996年貿易輸出は赤字に転化。理由:バーツ高=輸出品の価格高=買わない。
ヘッジファンドはこの状況に目をつけた。
・・・・固定相場制が崩れる・・・・崩してしまおう。
金融の世界化=パソコンと電話さえあればだれでも参加できる。
バーツの切り下げを予想し、先物契約1ドル=25バーツで売る権利(プットオプション)を買った。
たとえて言うと権利行使時期に1ドル=35バーツになっていれば
1バーツ=1/35ドルのものを1バーツ=1/25ドルで売れる。
大もうけできる。バーツ安になればなるほどもうかる。
このような状況を作り、世界から集めた資金をもとにして大量に買ったバーツをどんどん売り始めた。
値下がりし始めたのをみて他の銀行もバーツを売り始める。タイは国家の信用をかけてバーツを買う。
ドルなどの外貨が国庫から消えてしまうーーー>もう切り下げしか方法がない。
このようにして
1997年7月2日タイはバーツの切り下げをテレビで発表。バーツの大暴落、タイ経済の破綻。
1998年のタイの経済成長率は-8%という惨めさ。
しかし、1999年にはタイの経済成長は4%に挽回していることにも注目しておこう。
お勧めの本:
金融工学の悪魔(吉本佳生 著、日本評論社)
縦軸が収益率(平均)、横軸がリスク(分散)。
収益率は大きいほど望ましい。
リスクは小さい方が望ましい。
つまり、次の図でA,B,Cは北東の方向にある方が良い。
AとCを比較:収益率は同じ、リスクはAの方がCより(A>C)
BとCを比較:リスクは同じ、収益率はBの方がCより(B>C)
AとBを比較:リスクはAの方が収益率はBの方が優れている。
安全を取る人―――>A、リスクがあってもまぐれでも儲けが大きい方が良い人―――>B

しかし、こんな風に単純ではない。ポートフォリオを組むといくつかの商品に財産を分配して金融資産を保有することにより収益率――リスクの無差別曲線(等高線)が微妙な形になる。ポートフォリオのとつ結合から収益率は線形関数でリスクは分散(共分散)の2次形式(多次元の放物線)であることから次のグラフのようになる。

Eは預金とか貯金のようにリスクゼロの商品。これは比較の対象として基準値と考える。これより悪いものは普通考えない。頭を使って時間を使うだけ無駄。
DはAとBを半分ずつ持った場合をあらわす。DはBより収益率が低いがリスクではAよりもBよりもひくい。AとBを直線で結んだ真ん中でないことに注意しよう。(このことが直感ではなく数学を使った結果であり、メリットといえる。)

この最後の図ではBとCを組み合わせたポートフォリオを考えるとFとなり、Bよりちょっと収益率は下がるがリスクが大幅に下がる。単独で考えた時はCは除外すべき銘柄であった。
きわめて教訓的!システムなど複雑な系では個別に評価してはいけないのだ。
数学2000年1月号岩波書店p.77
数理ファイナンス:数学を駆使するファイナンス、あるいはファイナンスに題材を採った数学? (関根順)から文献を引用。




・米国先物証拠金システム・スパンの説明
http://www.charttop.com/Japanese/span.ja.html
・先物用語集
http://www.charttop.com/Japanese/glossary.ja.html
オプション戦略21種類のストラテジー。
http://www.charttop.com/egu.opt.strategy.files/frame.htm